2010年8月15日日曜日

蝉時雨。


「蝉の声を聞きたかったら雁木坂に行けばいいよ。」とレストラン伊太利亜のシェフ。

事務所から信号を渡ってすぐの場所。ひんやりとした小さな林は、なるほどうるさい位の蝉時雨。



島崎藤村の「江戸繁昌記」に飯倉二丁目の雁木坂についての記述がある。ということは、この辺りは島崎藤村の散歩道だったのだ!




 残りの命は少ないのだろう、僕が近寄っても油蟬くんは忙しい。

 子供の頃、僕の夏休は昆虫採集の日々。ありとあらゆる虫と戯れたが、蝉には本当にお世話になった。なんと言っても蝉くんは飛んで逃げる航続距離が短いので追いかけやすい。それに蝶のようにデリケートではなく、ガ〜っと捕まえた瞬間のバタバタ感と悲鳴のような鳴声が、五歳の子供とはいえ、燃えたぎったハンターの血を満足させるものがある。もう少し静かなら、それほど取られることなかったろうに。
「蝉も鳴かずば取られまい」(笑)



 捕まえた蝉は恐らく何百匹。
ほんとうに申し訳ないことをしたと後悔したところで、雁木坂の頂上に着いていた。
短い階段だけれど、その階段の数だけ想いでを辿れる場所。

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