2009年9月15日火曜日

樺沢記者のこと。

 一時期、原発を担当していた樺沢記者。

ニュース番組で樺沢記者が原発問題をレポートすることになり、僕は魚眼レンズから1000mmまでのレンズを用意して敦賀駅前で樺沢さんと合流した。
 ひなびた喫茶店で「敦賀駅前商店街から世界のエネルギー問題」まで、氏曰く「現在進行形的原発問題」のレクを受けた。その判りやすさは今まで読んだどの資料よりも簡潔で明快だった。

 
 レポートのポイントに選んだのは原子力発電所を背景にした小さな砂浜。原稿の手直しもあって取材班は暫く休憩。
暖かな陽気と波の音に微睡んでいると突然、樺沢記者が「お〜い、甘海老食べようか!」と叫ぶ。「え!今から釣るんですか……?」「こんなこともあるかと思い、さっき駅前で買ったのであるよ。」と発泡スチロールの箱をヒラヒラ。
「なかなかのタイミングですけど、これ冷凍ですよ!」
「海老はもともと海にいたのであるぞよ。」
「だから……? まさか!」
と云うことで、海老を目の前の海に放り投げて解凍。
打ち上げられる甘海老は初夏の海水で程よく解凍され、しかもなかなかの塩梅。
大人が、四人の大人が沈んだり流されたりする甘海老を追って、ヒャッヒャと騒ぎながら浜辺を走り回っていた。なにより可笑しかったのは、背広の樺沢記者がズボンの裾を巻くって波打ち際を走っていたこと‥‥。

 敦賀の小さな砂浜でのことを一生忘れない。柔軟性のあるいい記者だったと思う。樺沢啓之記者。2009年5月18日死去。
僕が撮影した樺沢記者は永遠に映像のなかで生き続ける‥‥。

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